アトピー用の食事や手作りのおやつまで気を配ってくれるから、Mちゃん自身も預けられることでストレスを感じたりする心配はない。
そして、仕事をしながらアトピーとつきあうには、夫の協力は不可欠だという。
Hさんのパートナーは、旅館を営んでいる。
忙しい時期には遅くまで帰ってこられないが、反面、平日でも都合のつくときもある。
Hさんの締切りが迫ったときなどは、Kくんを旅館に連れていってくれるそうだ。
ほぼ毎日のように夜中にかゆみで目を覚ますMちゃんの添い寝も、仕事があるときは彼の出番。
デザインに没頭できるように役割分担しているのである。
アトピーの治療には精神状態が影響するとよくいわれる。
Hさんは、子どもが好きなことに集中して心が解き放たれると、かゆみを感じなくなるようだと言う。
「どの子もそうでしょうが、眠くなって体温が上がるとかゆみは増します。
Mの場合、夕方と夜八時半前後がピーク。
一種の恍惚状態で、ひたすらかきむしっています。
ところが、あるとき、その時間帯に塗り絵をさせたら、一時間近く黙々と塗っていたんです。
Mは絵を描くことがいちばん好きなんですが、好きなものに心を奪われて、かゆみを忘れられたのでしょう」絵を描かせる、好きなものを作らせる、好きな本を読ませる。
精神療法ともいえそうな方法が効果的に作用する場合もあるようだ。
また、信頼できる医者を選んで、どんな小さなことでも語り合えるようにすべきだと、Hさんは考えている。
「子どもの症状をいちばんよく代弁できるのは親なのですから、気軽になんでも相談できる関係を医者との間に結ぶことが重要だと思います。
たとえば『スキンケアを徹底してください』と言われてそのまま納得するのではなく、石けんで洗い落とすのか、一日何度ぐらい洗うのか、それともふくだけでいいのか。
そして、指示をうのみにするのではなく、自分の子のアトピーの特性にあった方法かどうか、親が医師ときちんと話し合えるようにすることが大切でしょう」それに、仕事で気を紛らすことができたのもよかったとか。
アトピーのわが子と一対一で格闘し続けていくのはやりきれない。
母子密室でのアトピー治療は、何の解決も見出せないようだ。
子どもに何かが起きると、すべて母親の責任とみなされがちだ。
子どものアトピーについても例外ではない。
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